絵本庭訓往来 二月返

絵本庭訓往来 | 往来物・和算書 | 国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクション

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ほつし より これせしめんと まうし
之処 のところ。庶而さえぎつてあづかり
恩問おんもんに 御同心ごどうしん
之至のいたり多生之嘉たしやうのか
會也 くわいなり。そも〳〵花下はなのもとの
會事 くわいのこと。花鳥くわてう
風月者好士之ふうげつハかうずのところ まなぶ
詩歌管絃者嘉齢しいかくわんげんハかれい
延年之方也 ゑんねんのはうなり。勧進ごくわんしんの
ていあひ かなふ本懐ほんくわいに 者哉 ものをや。こう
園庭前之花 ゑんていぜんのはな。深山藂しんざんさう
樹之桜 じゆのさくら。誠以まことにもつて開敷㝡かいふさい
中也 ちうなり。若今明之間もしこんめうのあいだあら 暴風ぼうふう霖雨りんう 者無バむ
念事也 ねんのことなり。同者おなじくハ片時急度へんしもいそぎたく所 ところ、 令 しむる、 ぞんじ也 なり。和哥わか
いへども あふぐと 人丸ひとまる赤人之古風 あかひとのこふうを。 いまだ…ず きハめ 長歌ちやうか
短歌たんか旋頭せんとう混本こんほん
折句をりく沓冠之風くつかぶりのふ
情 ぜい。輪廻りんゑ傍題ほうだいうち
こし落題之躰 らくたいのていを。
聯句者れんくハながら くみ くわん
江家之旧流 こうけのきうりうを。 さらに
わすれ じよひやうだい傍絶はうぜついん
聲儨 せいのかたちを。 すこぶるごとし にたるが 猿猴之人 ゑんこうのひとに。
おなじ そねむに 螢火之燈 けいくわのともびを。 然而しかふして めし くハへら
人数一分にんじゆいちぶんに 者 バ。ほとんどべし まねく 後日之ごにちの
恥辱 ちぢよくを。 執筆しゆひつ發句ほつく賦物ふしもの
以下 いげ。才覚未練之間 さいかくミれんのあひだ。當座たうざ
さだめてべき およぶ 赤面せきめんに 欤 か。いさゝかべき ある
用意ようい 之由承候訖 のよしうけたまハりをハんぬ。べし いたす ごとく 形之かたの
稽古 けいこ。 公私忩忙うしのさうぼう いとまあら
毛挙 もうきよに。 恐々謹言きやう〳〵きんげん
 二月廿三日  監物丞けんもつのじやうミなもと
謹上きんじやう 弾正忠だんじやうのちう殿どの 御返事