絵本庭訓往来 三月返

絵本庭訓往来 | 往来物・和算書 | 国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクション

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るゝ 仰下おほせくださ 條々でう〳〵具以つぶさにもつて
承候訖 うけ給ハりさふらひをハんぬ。いさゝか べから ぞんず とう
かんに 也 なり。抑御下文そも〳〵おんくだしぶミ
教書ぎやうしよ厳重之間 げんぢうのあひだ。にふ
使節ぶしせつなく 異儀いぎ のぞんで
彼所かのところに しめ 遵行じゆんかうせ 訖 をハん。きつ
しよハしめ せん かうせ吉日良きちにちりやう
辰 しんを。 耕作業㝡中かうさくぎやうさいちう
也 なり。地下文書事 ちげもんしよのこと。或紛あるひハふん
失 しつ。或失墜錯乱之あるひハしつついさくらん
由 よし。沙汰人等さたにんとうよつて 構申かまへまうすに
延引之条ゑんいんのでう恐入候 おそれいりさふらふ。こと
之実否 のじつふ。又土貢員またとこうのいん
数等じゆとう尋捜 たづねさぐり。おつてべき まうす
注進ちうしん 也 なり。次作事者 つぎにさくじハ。
けたうつばりはしら長押なげし棟木むなぎ
板敷 いたじき。材木者ざいもくハたる こう
りやう 之間 のあひだの。ため 杣取そまとりの しめ
あつらへ 畢 をハん。門冠木もんのかぶき扉装とびらのしやう
ぞく唐居敷板からゐしきいた鼠走ねずミはしり方立はうだて
雲臂木くもひぢき懸魚げぎよう蟇股木かへるまたのき
并鴨居ならびにかもゐ敷居しきゐ垂木たるき々舞こまひ
関板せきいた飛縁角木ひゑんのすミき縁短ゑんのつか
ばしら簀子すのこ唐墻からかき透垣すいがきしバ
がき築墻ついがき檜垣ひがき杦障子すぎしやうじ
連子れんししとミ隔子こうし遣戸やりど
妻戸つまど織戸おりど決入くりばさミ高欄かうらん
宇立うだて扨首さす足堅あしかため天井てんじやう
ふち障子骨しやうじほね棟樋むなひぐミ
押榑おそひのくれ襲木おそひのき檜曽ひそすい
もん葺地具足者ふきちぐそくハおいて
みなとに べし しむ かハ これを山造斧やまつくりのをの
まさかりのこきりてをの并造作釘ならびにざうさくくぎかね
物者ものハよう いし炭鉄すミかねを めし すゑ
ぢを しめ つくら これを 也 なり。おほせて 木工寮もくりやう
修理職大工 しゆりしよくのたいくに。 めし くださ巧匠こうせうを
釿立てをのだて礎居いしすゑ柱立はしらだて精鉋きよかんな
棟上吉日者 むねあげきちにちハ。おほせて おん
陽寮やうのりやうに べし 定下 さだめくださ。 次樹木つぎにじゆもくの
ことうめもゝすもゝ楊梅やまもゝ枇杷びハあんずくりかき梨子なししい
はしばミ柘榴さくろなつめ樹淡きざハし柚柑ゆかう々子かうじたちばな温州橘うしゆきつ金柑きんかん
以下いげ心之こゝろところ およぶしめ 尋植たづねうゑ 訖 をハんぬ。なほもつて 御日記ごにつきを さら おほせ
くだ 者 バ。諸事しよじべし したがふ
左右 さうに。 またいへども べき 申入まうしいる
細候 さいさふらふと。 御領田堵ごりやうでんと土民どミん
名主ミやうしゆ庄官等しやうくわんらぞんずる
しんを 之間のあひだ条々でう〳〵いまだ…ず らく
居 きよせ。 責伏之後せめふくしてののちとげ
参上さんじやうを べき 申入之まうしいるの 旨 むね。べく
しめ 披露ひろうせ たまハる 也 なり。恐惶きやうくわう
謹言きんげん
 三月十三日  左衛門尉さゑもんのぜうたちばな
進上しんじやう 玄蕃允げんばのすけ殿との 御返事