絵本庭訓往来 十一月返

絵本庭訓往来 | 往来物・和算書 | 国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクション
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ひらき 玉章ぎよくしやうを うかゞうに 厳旨げんしを
御用望ごようぼうすでに分明也ふんミやうなり
ことく おほせの當道名醫たう〴〵のめいい
べき ある 奔走ほんそう なりかりに
はべりて 医邊いへんに よミあきらめいち
りうの書籍しよじやくを 療養りやうよう
ともに名誉達者めいよのたつしや
抜羣ばつぐんのじんに たゞし渡唐とゝう
ふねよつて 中絶ちうぜつに 薬種やくしゆ
高直之間かうしぎのあいだ大薬たいやく
秘薬者ひやくハ斟酌じんしやくの
ことに られ もちい 和薬わやくを
べき ぜしむ さんなり
木八草之もくはつさうの湯治たうぢ
風呂ふろ温泉をんせんとうなく 指費させるついえ をよそ房内ばうないくハ
濁酒酩酊だくしゆめいてい睡眠昏沈すいミんのこんちん形儀散ぎやうぎのさん
どう食物飽満しよくもつのばうまん所作身労しよさのしんらう恋慕辛苦れんぼのしんくちやう
途窮屈どのきうくつ旅所疲労りよしよのひらう閑居朦氣かんきよのもうき愁歎しうたんの
労傷らうしやう闕乏失食けつほくのしつしよく深更夜食しんかうのやしよく五更空服ごかうのくうふく
塩増飲水ゑんそうのゐんすい浅味熱湯せんミのねつたう寒氣薄衣うんきのはくゑ炎天ゑんてんの
重服ぢうふく皆以ミなもつて禁忌事きんきのことに なりあつて 御心得をんこゝろ べき
らる やうじやうなり恐々謹言きやう〳〵きんげん
  十一月 日      礒部某いそべのそれがし
進上しんじやう 宮内殿ぐないどの 返事へんじ