2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

方丈記(嵯峨本) 9

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 ともしきを見給ふ時は限りある みつき物をさへゆるされき是民を 恵み世をたすけたまふによりて也 今の世中の在さま昔になすらひて 知ぬへし又養和の比かとよ久敷 なりてたしかにも覚えす二年か間 飢渇して淺ましき…

方丈記(嵯峨本) 8

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 浮雲の思ひをなせり本より此所に 居る者は地をうしなひて愁へ今 うつり住人は土木の煩ある事を 歎く道の邊を見れは車に乗るへき は馬にのり衣冠布衣なるへきは 直垂を着たり都の条里忽に改りて たゝひなひたる武士…

方丈記(嵯峨本) 7

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 浮ひ地は目前に畠となる人の心 みなあらたまりてたゝ馬鞍をのみ をもくす牛車を用とする人なし 西南海の所領を願ひ東北国の庄園 をは好ます其時をのつから事の便 在て摂津の國の今の京に至れり所の 有さまを見るに…

方丈記(嵯峨本) 6

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 又おなし年の水無月のころ俄に 都遷り侍りきいと思ひの外成し 事也大かた此京の始を聞は嵯峨 天皇の御時都と定まりにける より後すてに数百歳を経たりこと なくてたやすくあらたまるへくも あらねは是を世の人たや…

方丈記(嵯峨本) 5

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 又門のうへを吹はなちて四五町か ほとに置また墻をふきはらひて となりとひとつになせりいはむや 家のうちのたから数をつくして 空にあかり檜皮ふき板の類ひ冬の 木の葉の風に乱るゝかことし 塵を煙のことくふきた…

方丈記(嵯峨本) 4

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 たれ共資財を取出るに及はす七珍 萬寶さなから灰燼と成にき其費へ いくそはくそ此度公卿の家十六燒 たりましてその外は数しらすすへて 都の中三分か一に及へりとそ男女 死ぬる者数千人馬牛の類ひ邊際を しらす人の…

方丈記(嵯峨本) 3

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 閑ならさりし夜戌の時はかり都の たつみより火出來りていぬゐに 至るはてには朱雀門大極殿大學寮 民部省まて移りて一夜か程に灰と 成にき火本は樋口富小路とかや病人 を宿せる假屋より出來けるとなむ 吹迷ふ風にと…

方丈記(嵯峨本) 序

行川ゆくかわのながれは絶たえずして、しかも本もとの水にあらず。よどみにうかぶうたかたは、かつ消きえかつ結びて、久敷ひさしくとゞまる事なし。世の中にある人と住家すみかと、又かくのごとし。玉敷たましきの都みやこのうちに、むねをならべ、いらかを…

方丈記(嵯峨本) 2

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 稀也あるは大家ほろひて小家と成 住人も是に同し所もかはらす人も 多かれと古見し人は二三十人か中に わつかにひとりふたり也朝に死し 夕に生るゝならひたゝ水の泡に 似たりけるしらすむまれ死ぬる人 何方より來て…

方丈記(嵯峨本) 1

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 行川のなかれは絶すしてしかも 本の水にあらすよとみにうかふ うたかたはかつ消かつ結ひて久敷 とゝまる事なし世の中にある人と 住家と又かくのことし玉敷の 都のうちにむねをならへいらかを あらそへる高き賤しき…