方丈記(嵯峨本) 1

方丈記 | 日本古典籍データセットから

方丈記/7
翻刻
行川のなかれは絶すしてしかも
本の水にあらすよとみにうかふ
うたかたはかつ消かつ結ひて久敷
とゝまる事なし世の中にある人と
住家と又かくのことし玉敷の
都のうちにむねをならへいらかを
あらそへる高き賤しき人の住居は
代々を遍て尽せぬ物なれと是を
誠かとたつぬれは昔ありし家は

濁点・句読点付加
行川のながれは絶ずして、しかも
本の水にあらず。よどみにうかぶ
うたかたは、かつ消かつ結びて、久敷
とゞまる事なし。世の中にある人と
住家と又かくのごとし。玉敷の
都のうちに、むねをならべ、いらかを
あらそへる、高き賤しき人の住居は、
代々を遍て尽せぬ物なれど、是を
誠かとたづぬれば、昔ありし家は