方丈記

方丈記(嵯峨本) 5

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 又門のうへを吹はなちて四五町か ほとに置また墻をふきはらひて となりとひとつになせりいはむや 家のうちのたから数をつくして 空にあかり檜皮ふき板の類ひ冬の 木の葉の風に乱るゝかことし 塵を煙のことくふきた…

方丈記(嵯峨本) 4

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 たれ共資財を取出るに及はす七珍 萬寶さなから灰燼と成にき其費へ いくそはくそ此度公卿の家十六燒 たりましてその外は数しらすすへて 都の中三分か一に及へりとそ男女 死ぬる者数千人馬牛の類ひ邊際を しらす人の…

方丈記(嵯峨本) 3

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 閑ならさりし夜戌の時はかり都の たつみより火出來りていぬゐに 至るはてには朱雀門大極殿大學寮 民部省まて移りて一夜か程に灰と 成にき火本は樋口富小路とかや病人 を宿せる假屋より出來けるとなむ 吹迷ふ風にと…

方丈記(嵯峨本) 序

行川ゆくかわのながれは絶たえずして、しかも本もとの水にあらず。よどみにうかぶうたかたは、かつ消きえかつ結びて、久敷ひさしくとゞまる事なし。世の中にある人と住家すみかと、又かくのごとし。玉敷たましきの都みやこのうちに、むねをならべ、いらかを…

方丈記(嵯峨本) 2

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 稀也あるは大家ほろひて小家と成 住人も是に同し所もかはらす人も 多かれと古見し人は二三十人か中に わつかにひとりふたり也朝に死し 夕に生るゝならひたゝ水の泡に 似たりけるしらすむまれ死ぬる人 何方より來て…

方丈記(嵯峨本) 1

方丈記 | 日本古典籍データセットから 翻刻 行川のなかれは絶すしてしかも 本の水にあらすよとみにうかふ うたかたはかつ消かつ結ひて久敷 とゝまる事なし世の中にある人と 住家と又かくのことし玉敷の 都のうちにむねをならへいらかを あらそへる高き賤しき…