絵本庭訓往来 序

絵本庭訓往来 | 往来物・和算書 | 国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクション

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庭訓往来ハ玄恵法印のあらハせるものなり法
印ハ独清軒と号し又健叟といひ洗心
子と稱す八宗の学者にて博識ならぶ者
なし初めて温公通鑑をよむその如く兒童
のために此せうそこの案を作りてあたふこれ
高埜大師のいろはうたにまさりてつたへて代
々の重寳とハなすめり元弘三年勅ありて
大徳寺の妙超侍者と問荅ありしをもて

学ばんのすぐれたるをしるべし八角の磨盤空
裡に走るといへる禅語ハその徒ならでハ知るもの
なけれバ玄恵がまけたるにハあらず此一篇鳥獣蟲
魚衣服器物のたぐひしなおほけれバ童子のさとし
がたきものあり月痴老人これを愁て例のこまやかなる
筆にうつしとりてかう絵本とハなしぬこゝにおいて庭訓の
真面目を見るにこれそ嗚呼月痴老人の功玄恵法
印の志もに出ずといふべくや    六樹園