絵本庭訓往来 十月往

絵本庭訓往来 | 往来物・和算書 | 国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクション
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入院新命じゆゐんしんめい退院たいゐんの
西堂久せいとうひさしくざる まふさ 相看さうかん
あいだ近日きんじつべく 召請申てうしやうもうす その
次且ついでかつハため 看経かんきん かつハため
けんの べく せしむ をこなハ 大齊たいさいを をなじく
結夏以前けつげいせんべき しかる
之時分のじぶんに 禅律ぜんりつの
僧衆そうしゆ諸寺諸社しよじしよしや
聖道衆徒しやうだうしゆとくつ しやうする
これを ことに 但時ただしときてん
心之作法しんのさほう僧物布そうもつふ
施之次第せのしだいなく
じつ 調菜仁てうさいのじん
古老行者等中こらうのあんじやとうのなかに器用仁きやうのじんさだめてせしむる ぞん
委細いさいべき 示給しめしたまハる なり禅家者ぜんけハ堂頭たうとう
和尚くハしやう東堂たうどう西堂さいどう并知事方ならびにちじがたにハ都寺つうす監寺かんず
副寺ふす浴主よくす典座てんすぢき
さい都管つうかん都聞つうぶんしゆ
造司ざうす堂主だうす浄頭じんちう
頭首方てうしゆがたにハ前堂ぜんたう
後堂両首座こうだうりやうしゆざしよ
蔵主ざうす維那いの
焼香しやうかう侍者じしやしよ
でう請客しんか湯薬たうやく衣鉢いふ
等侍者とうのじしや此外嗜旧このほかききう
之諸僧のしよそう塔頭坊主たつちうのぼうず
旦過之僧たんぐハのそう山主さんすあん
沙弥しやミ喝食かつしき行者あんじや
参頭さんとう副参ふさん望参ばうざん
供頭くちう堂司だうす庫子こす
炭頭たんちう調菜人工者てうさいにんくしや
兄部このかうべ出納しゆつなふ山守やままり
もり門守もんしゆ火鈴振くハりんふり
等也とうなり律僧者りつそうハちやう
らう知事ちじ典座てんそしや
八齊戒はつさいかいの人工法にんくはう
師等也しとうなり聖道者しやうだうハ
一寺検校いちじのけんげう執行しゆげう別當べつたう長吏ちやうり学頭がくとう
院主ゐんす執當しつたう先達せんだつ阿闍梨あじやり法橋ほつきやう
律師りつし僧都そうづ法印ほういん僧正そうぜう目代やまのもくだい大勧進たいくハんじん
小別當こべつとう得業とくげう内供ないぐ
已講いかう堂達だうたつ
専當せんたう勾當こうたう都維つい
寺主ぢしゆ上座以下しやうざいげ
承仕ぜうし宮司きうしとう其外そのほか
有職僧綱僧徒ゆうしよくそうかうそうと
とう猶以禅家方者なをもつてぜんけかたハ
相伴邏齊之僧さうはんろさいのそう陪堂外僧堂輩ほいとうとそうたうのともからしやう
道者だうハ従僧駈使同朋じうそうくしとうぼう推参之道俗すいさんのだうぞくりん
時之客人じのきやくじんまかせ 人数にんじゆに いひ 點心てんしんと いひ 布施物ふせもつと たゞし らつ
じを べき ちうし たまふ上下品じやうげのしなを 也諸事御才学なりしよじごさいがく
之外のほかなし* 憑所たのむところ* のこさ 心底しんていを され しめ これを
尤以本望也もつとももつてほんもうなり兼又かねてまた先日せんじつところ 申入もふしいるゝ 之掛のくハ
搭僧事たうそうのことなく 相違さうゐ あづかり 御許容こきよやうに 候者さぶらハゞをそれ
いり 毎事まいじごす 参入之次さんにうのついでを 恐々謹言きやう〳〵きんげん
  十二月三日       沙弥しやミ
進上しじやう 衣鉢侍者ゑはつのじしや禅師ぜんし御寮ミたち