絵本庭訓往来 二月往

絵本庭訓往来 | 往来物・和算書 | 国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクション

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面拝之後めんはいののち中絶良久 ちうぜつやゝひさしく。
こんごとく 山 やまの。何時 いづれのときか、さんせん、 意霧いむを 哉 や。
併 しかしながら、似 にたり、 へだつるに 胡越 こゑつを。 猶以千悔々々なほもつてせんくわい〳〵
そも〳〵醍醐だいご雲林院花 うんりんゐんのはな。濃香芬々匂已じやうかうふん〳〵としてにほひすでに
盛也 さかんなり。嵯峨さが吉野山桜 よしのゝやまさくら。開落かいらくまじへ えだを。その
梢繁 こずゑしげし。かたき 黙止もだし 此節也 このせつなり。争徒然而いかでかとぜんにしておくらん
光陰くわういんを 哉 や。花下はなのもとの
好士 かうず。諸家狂しよけのきやう
じんごとく くものにたり 霞 かすみに。
遠所之花者 ゑんしよのはなハ。のり
もの僮僕どうぼくがたし がふ
期 ごし。 先近隣之まづきんりんの
名花めいくわもつて 歩行ほかう
之儀のぎを 思立事おもひたつことに候 
いへども たりと 左道之樣さだうのやう
もつて 異躰之形いていのかたちを
明後日ミやうごにち御同ごどう
心候者しんさふらハゞ本望也 ほんまうなり。
連歌宗匠れんがのそうしやう和歌わかの
達者 たつしや。一両輩いちりやうはいべし
ある 御誘引 ごゆういん。 以 もつて、 その
ついでを 聯句之詠れんくのゑい
同所望候 おなじくしよまうにそろ。破籠わりこ
小竹筒等者ささえとうハより
これべし 随身ずいしんす。 すゞり
懐紙等くわいしとうべき
懐中くわいちうせら 欤 か。如何いかゞ
心底之趣 しんていのおもむき。がたく
つくし 紙上しじやうに  也しかしながら
ごす 参會之次 さんくわいのついでを。
不具ふぐ
きん
げん
二月廿三日
   弾正忠だんじやうのちう三善ミよし
謹上きんじやう 大監物殿だいけんもつどの