絵本庭訓往来 五月往

絵本庭訓往来 | 往来物・和算書 | 国立教育政策研究所教育図書館貴重資料デジタルコレクション

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良久 やゝひさしく。へだて 面拝めんぱいを 積欝せきうつごとし 山 やまの。何日いづれのひかひらかん 朦霧もうむを
あらずん 面談めんだんに 者 バ。さらに べから しやす これをしかしながらごす 参會さんくわいを
そも〳〵関東下向之大名くわんとうげかうのだいめう髙家かうけの
人々ひと〴〵もつて 路次之便ろぢのたよりを可打寄べきうちよる
之由のよし内々其聞候 ない〳〵そのきこへそうろふ。折節おりふし
草亭 さうてい。見苦敷 みぐるしく。資具しぐ
又散々之式またさん〳〵のしき なり あづから 御扶ごふち
がたし かくし 今度恥辱こんどのちじよくを
られ 助成ぢよせいせ 者 バ。生前大幸也しやうぜんのたいかうなり
臨時之客人りんじのきやくじん纏頭之外 てんどうのほか。
なし 他 た。卒尓経営そづしのけいゑい周章之至しうしやうのいたり
忙然也 ばうぜんなり。いへども 為無心之所望候むしんのしよもうにそうろうと
幔幕まんまく同幕串 おなじくまくぐし。かうらい
麗端畳 へりのたゝみ。深縁差莚ふかべりのさしむしろ
屏風 びやうぶ。几帳 きてう。翆 みす。簾 すだれ。られ
恩借おんしやくもつて 人夫にんぶを 可送賜べくおくりたまハる
此外打銚子このほかうちてうし金色提かねいろのひさけ青漆鉢せいしつのはち茶埦之具ちやわんのぐたか
つき懸盤かけばん引入合子ひきれがふしさらさかづきあぶら蠟燭らふそく鐡輪以かねわい
しんず 注文ちうもんを 悉以借預者こと〴〵くもつてかしあづからバべく しんず 使者ししやを 候也 家人けにん
若黨 わかたう。并家来仁等 ならびにけらいのじんとう。
皆以無骨田舎人也 ミなもつてぶこつのいなかびとなり。
配膳 はいぜん。勧盃 くわんぱい。料理 れうり。
庖丁 はうちやう。或盛物以已下 あるひハもりものいげ。
実職者 じつのしきしや。一両軰いちりやうはいべき
しめ やとハたまわる 万事ばんじたてまつり
なし 父母思ふぼのおもひを 畢 をハんぬ。敢以あへてもつて
べから らる 弃捐きゑんせしかしながらごす 参拝之時さんはいのときを不具恐惶謹言ふぐきやうくハうきんげん
 五月九日   京進さきやうのしんたいら
進上しんじやう 蔵人將監くらんどのしやうげん殿どの御舘みたち